2020-10-02
人々の歴史
「世の中で言う、侵略側と侵略された側という構図がいつもあって、人間はそのような一枚の壁で分けられているというところがある。(中国残留婦人の)曾おばさんのことを書いたときも、『なぜ、加害者側の女性に同情するのか』というのが、自分のなかにもあった。でも、人間を見るか、人間の集団を見るのか。私たちはあくまで人間という視点でみることを自然におくべきだと思うんですよ。何の負い目もなく、大々的に表現すべきだと思うんですよ。」(班さんのインタビュー記事から抜粋)http://www.cc9.ne.jp/~nihei-1817/ban2.html
”日本と中国”と記したとたんに、「国家」のイメージが先行してしまうことが多い気がします。私たちが日頃言葉を見聞きしたりイメージしたり連想したりする、その一連の流れの中で、班監督のいうところの「一枚の壁」が思考の邪魔をすることがまだまだ多くあるのではないかと思います。
班忠義監督の『太陽がほしい』という慰安婦の女性たちの証言を集めたドキュメンタリー映画のポスターを作らせていただいた縁で、今回は監督が1998年に出版し、朝日ジャーナル賞を受賞した『曽おばさんの海』の再版本の表紙画を切り絵で描かせていただきました。
中国の「文化大革命」時代に少年期を過ごした監督と、戦後中国に残された日本人(中国残留婦人)の曽おばさんとの出会いからはじまる、歴史の話です。
『曽おばさんの海』著:班忠義 (学芸みらい社/2020年)
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